中学・高校の勉強を、自分のペースでやり直したい人にとって、映像授業はかなり現実的な選択肢です。先生にその場で質問できない代わりに、理解できるまで同じ説明を見返せるからです。私が試した「Try IT(トライイット)」は、まさにその使い方に向いた教育アプリでした。短い時間で授業の要点を確認したいときや、学校の授業で置いていかれた単元を一人で埋めたいときに、スマートフォンからすぐ取り組めます。
ただし、映像を見るだけで成績が自動的に上がるアプリではありません。どの単元を学ぶかを自分で決め、視聴後に手を動かして問題を解く必要があります。この記事では、どんな学習スタイルに合うのか、一般的な参考書や個別指導と比べてどこが便利なのか、逆にどんな人には物足りないのかを、実際の使い勝手を中心に整理します。
Try ITを選ぶ前に見ておきたい学習条件
「授業を受ける」より「必要な部分を探す」人向け
このアプリの良さが出るのは、最初から最後まで順番に講座を消化する使い方だけではありません。学校で理解できなかったところを見つけ、そこだけ映像で補う使い方がとても自然です。たとえば数学の文章題で式の立て方が分からない場合、教科書を何度も読み返すより、先生の説明を聞きながら考え方を確認するほうが納得しやすいことがあります。
一方で、学習計画を誰かに作ってもらいたい人には、少し自分で動く場面が多く感じられます。映像授業は、視聴開始のハードルを下げてくれますが、今日どこまで進めるか、見終わったあと何を解くかまでは自分で決める必要があります。私は、アプリを開く前に「今日は二次関数の例題を確認して、問題を三問解く」のように目的を一つだけ決めておくと、流し見になりにくいと感じました。
中学生と高校生で変わる使い方
中学生なら、定期テスト前の復習や、授業中に聞き逃した単元の補完に使いやすいです。特に、ノートを見ても説明の流れが分からないときに、講義形式で順を追って聞ける点が助けになります。保護者が横で教えようとしても、教え方や解き方が学校と違って混乱することがありますが、まず映像で基本の説明を確認してから家族に質問する流れなら、話が通じやすくなります。
高校生の場合は、科目や単元によって自習の難しさが変わります。基礎事項の整理には向いていても、難関校向けの応用問題を深く掘り下げたい人は、別の教材や先生の指導を組み合わせたほうが安心です。私は、映像で公式や考え方を再確認し、その後は学校の問題集で解答を書くという二段階にすると、受け身の学習になりにくいと思いました。
スマートフォン学習で起きやすい弱点
スマートフォンだけで勉強できるのは便利ですが、同じ端末に通知や娯楽アプリがあると集中が切れやすくなります。動画を再生したまま別のことを始めてしまう人は、机の上に教科書とノートだけを置き、視聴時間を区切る工夫が必要です。画面が小さいと板書や細かな式が見づらい場合もあるので、長時間の本格的な学習では、見やすい端末や環境を用意したほうが快適です。
また、映像授業は「分かった気になる」危険があります。先生の説明を聞いている間は理解できたように感じても、何も見ずに自分で解こうとすると手が止まることがあります。私なら、動画を一本見終わるたびに、ノートを閉じて要点を一行で書き、例題を自力で再現します。この一手間を入れるだけで、視聴と学習の差がかなり小さくなります。
料金と始めやすさを判断する
Try ITは無料で利用できる教育アプリです。塾に通う前に映像授業が自分に合うか試したい人や、家庭学習の費用を抑えたい人にとって、始めるまでの心理的な負担は小さいでしょう。無料だからといって、最初から長時間使おうとする必要はありません。まず苦手な単元を一つ選び、説明の分かりやすさと、自分で問題を解けるようになるかを確認するのがおすすめです。
ただ、無料であることだけを理由に、すべての学習をこれ一つに任せるのは危険です。授業を見るための入口としては優秀でも、答案の添削や細かな質問対応を求める場合は、個別指導や学校の先生への相談が必要になります。費用をかけたくない人ほど、学校のワーク、教科書、ノートと組み合わせて使う意識が大切です。
安心して使える対象年齢と基本情報
教育カテゴリーのアプリとして提供され、対象年齢は三歳以上です。実際の中心は中学版・高校版の学習なので、幼児向け教材を探している家庭が選ぶものではありません。開発元はTrygroup Inc.で、アプリストアでは平均4.4の評価を得ており、評価件数はおよそ千七百件です。多くの人に知られている一方、評価だけで自分との相性まで判断するのではなく、実際に苦手単元を一本見て決めるのがよいでしょう。
公開日は二千十五年七月十七日で、現在のバージョンは4.8.3です。対応環境は七以上なので、古い端末では利用前に確認しておくと安心です。インストール数は十万以上に達しています。長く使われてきたアプリとして試しやすい反面、端末の画面サイズや動作環境によって見やすさが変わるため、最初に短い学習時間で操作感を確かめるのが現実的です。
実際に使って分かった強みと、他の選択肢が合う場面
必要な説明へすぐ戻れるのが大きな強み
私が便利だと思ったのは、分からないところを「もう一度先生に説明してもらう」感覚で確認できることです。教科書では、前提となる知識が抜けていると、どこを読み直せばよいか分からなくなります。映像なら、説明の順番や言葉の置き方があるので、単元全体の流れをつかみやすくなります。
ここでのコツは、最初から完璧に覚えようとしないことです。一回目は説明の筋道を理解し、二回目は自分がつまずいた箇所だけ確認します。同じ動画を何度も最初から再生するより、ノートに「なぜこの式になるか」「どの条件を使ったか」を残しておくほうが、復習の時間を短くできます。これは、紙の参考書だけで勉強するときには作りにくい、音声と説明の流れを活かした方法です。
学校生活に合わせた現実的な利用例
たとえば平日の夜、学校から帰ってきたものの、数学の授業で扱った単元がほとんど理解できていないとします。私はまず教科書の該当ページを開き、分からない言葉を一つだけ確認します。そのうえでアプリの映像を見て、先生の説明を止めながらノートに要点を書きます。視聴後に学校の例題を解き、解けなかった問題だけ印を付けて翌日に持ち越します。
この流れなら、アプリが学校の教材を置き換えるのではなく、学校の教材へ戻るための橋になります。テスト前に映像を大量に見るより、授業当日か翌日に短く補うほうが効果を感じやすいです。部活動やアルバイトで塾の時間が取りにくい高校生にも、予定に合わせて学習を差し込みやすい方法だと思います。
参考書、検索動画、塾との違い
紙の参考書は、全体を一覧しやすく、書き込みや比較がしやすいのが魅力です。自分で読むことに慣れている人や、問題演習を中心に進めたい人なら、参考書のほうが速い場合があります。Try ITは、文章を読んでも理解が進まないときに、説明を聞いて考え方をつかむ役割で使うと価値が出ます。
一般的な動画検索では、同じ単元の説明を幅広く探せる一方、学年や学習順序がばらばらになりやすく、目的の動画にたどり着くまで時間がかかることがあります。このアプリは中学・高校の学習に焦点があるため、学校の勉強と結び付けやすいのが利点です。ただし、特定の先生の話し方や、別の解説方法が自分に合うとは限りません。一本見て理解しづらければ、無理に同じ形式へこだわらず、教科書や別の教材に切り替える判断も必要です。
塾や個別指導と比べると、質問をその場で投げて答えを返してもらえる安心感は弱くなります。逆に、周囲の進度を気にせず、得意なところを飛ばしたり、苦手な説明だけを戻ったりできる自由さは、映像学習のほうが上です。人に見られていないと勉強を始められない人や、間違いの原因を自分で言葉にできない人は、先生のいる環境を優先したほうが結果につながりやすいでしょう。
見落としやすい使い方の工夫
一つ目の工夫は、動画を「授業時間」ではなく「質問を作る時間」として使うことです。説明を聞きながら、分からない点をそのままにせず、ノートに疑問文で書きます。たとえば「この数字はどこから出たのか」「なぜこの公式を選ぶのか」と残しておけば、あとで教科書や先生に確認しやすくなります。映像を見終わった時点で疑問がゼロでなくても、質問が具体的になっていれば学習は前進しています。
二つ目は、苦手単元を最初に全部片付けようとしないことです。数学なら計算の基礎、英語なら文の構造など、後の単元に影響しやすい部分から戻ります。高校生がいきなり難しい長文や応用問題に挑むより、文法や語句の働きを一つずつ確認したほうが、映像の説明を吸収しやすくなります。
三つ目は、視聴履歴を達成感の代わりにしないことです。何本見たかより、視聴後に一問でも自力で解けたかを基準にします。私は、動画を見た日付と「一人で解けた問題」「まだ説明が必要な問題」をノートに分けて書く方法をおすすめします。次にアプリを開いたとき、見るべき内容が明確になり、同じ説明を漫然と繰り返しにくくなります。
乗り換えにかかる手間を考える
すでに紙の教材で勉強している人が使い始める場合、教材を全部捨てたり、学習方法を一から変えたりする必要はありません。むしろ、教科書や問題集を中心に置き、理解できない箇所だけ映像で補うほうが、切り替えの負担は小さいです。アプリだけで完結させようとすると、視聴した内容を問題演習へ移す段階で別の準備が必要になります。
塾から移る場合は、自由になった時間をどう使うかが重要です。通塾時間がなくなる分、毎週の学習計画を自分で管理しなければなりません。保護者が導入を考えているなら、「毎日何分見るか」だけでなく、「見たあとにどの教材を解くか」「分からない問題を誰に聞くか」まで先に決めておくと、無料アプリへの変更で学習が途切れにくくなります。
どんな人におすすめできるか
私は、次のような人なら試す価値が高いと思います。
- 学校の授業を休んだり聞き逃したりして、説明を自分の速度で確認したい人
- 塾へ通う時間や費用を抑えながら、基礎の復習を始めたい中学生・高校生
- 参考書を読んでも理解しにくく、先生の解説を聞くほうが頭に入りやすい人
- 自分で単元を選び、視聴後に問題演習まで進められる人
反対に、学習計画を細かく管理してほしい人、答案を添削してほしい人、難しい記述問題を個別に指導してほしい人には、これだけでは不足しやすいです。勉強の習慣そのものがまだ作れていない場合も、アプリを入れるだけでは解決しません。家族、学校の先生、塾など、続ける仕組みを別に用意したほうがよいでしょう。
私の結論
Try ITは、無料で始められる中学・高校向けの映像学習アプリとして、基礎の理解を補う用途にかなり使いやすいと感じました。特に、授業で分からなかった単元をその日のうちに見直し、すぐ問題を解くという流れなら、紙の教材だけでは得にくい説明の分かりやすさを活かせます。評価は平均4.4で、インストール数も十万以上ありますが、人気や数字より、自分が一つの動画を見たあとに問題を解けるかを基準に選んでください。
私なら、まず苦手な単元を一つ決め、短時間だけ視聴し、ノートを閉じて例題を解きます。そこで説明が役立ったなら、学校の問題集と組み合わせて使い続けます。逆に、疑問が残ったまま進めない、または一人では学習を続けられないなら、個別指導や先生への質問を優先します。
つまり、このアプリの価値は、塾の代わりになることではなく、分からない授業を自分で立て直すための、手軽な補助線になることです。自分で学ぶ意思があり、映像のあとに必ず問題を解く人にはおすすめできます。人に進度を管理してもらいたい人には、別の選択肢のほうが満足しやすいでしょう。









